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読書週間だから好きな本紹介するその3「生物と無生物のあいだ」


気の聞いた前置きがおもいつかんので、早速始めましょう。
読書週間だから好きな本を紹介するシリーズその3、「生物と無生物のあいだ」。



生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
売り上げランキング: 1,417



本を読んでいると、忘れられない情景に出会うときがある。
言葉少ななのに、ありありと情景と、その空気感が思い浮かぶことが。
私の場合、その1つが「生物と無生物のあいだ」のエピローグである。

少年が、アオスジアゲハのさなぎを集めている。
さなぎのまま冬を越すアオスジアゲハを、少年は虫かごの中に収めている。
翡翠のような、美しいアオスジアゲハのさなぎ。
春先に、その蝶の姿を見たいがために。
薄暗い、物置の奥の安全な場所に、さなぎをたくさん集めたかごを置いておく。

季節は廻った。少年は友達と遊び、本を読み、
あろうことか、少年はさなぎのはいった虫かごの存在を忘れてしまう。
少年は、1つ学年が上がる。クラス替えがあり、新しい友達が出来、気温が上がり、夏が近くなる。
アオスジアゲハの蝶が舞う季節になって、少年はやっと思い出す。
さなぎをつめて、物置の奥にしまった籠のコトを。

少年はぞっとして、指折り数をかぞえる。
どのぐらい前のコトか、思い出せないぐらいに昔のコトだ。
7ヶ月以上経過している。そんなにもたって、さなぎがさなぎのままでいるはずが無い。

彼は恐ろしかった。しかし同時に、見ないでいることも出来なかった。
彼は籠をそっと持ち上げ、明るいところへと持っていく。
何の気配もしなければ、何の音もしない。

10個以上あったさなぎは、全て羽化していた。
蝶たちは、一度も飛び立つことも無いまま、まるで生きているかのように、何の損傷もなく、
美しくそのままの姿を保っていた。






蝶という生き物は不思議なものです。
蝶のりんぷんというモノは、一度禿げたら二度と生えてくる事はありません。
蝶の標本というものは、1度もとんだコトのない蝶を展翅するのが、一番美しいそうです。

展翅というのは、人間から一番羽が見えるように平らにすること。
蝶の展翅の形というのは、本来の蝶の飛ぶ姿ではありません。
どんな綺麗な絵を描く、プロのイラストレーターなどでも、たまに展翅のまま蝶を描いていることがあります。
実は、あれは間違っています。蝶はあんなふうには飛ばない。

蝶。
不思議な生き物です。私は昔から、この「蝶」という昆虫に、敬意と畏怖の念を持っています。

ヘッセの「少年の日の思い出」には「珍しい蝶の標本」を盗む少年が出てきます。
触っただけで、ぱらぱらと壊れてしまう蝶の標本。そのはかなさ。
とある国では「死んだ人間の魂である」と言われている、その独特さ。

私の住んでいた田舎は、田舎すぎて、「標本」などという技術は周りにはありませんでした。
虫かごに入れ、死ぬまで飼う。
ドブのにおいと、昆虫の足が散らばった水の入ったケース。バッタとトンボがぐちゃぐちゃになって入っているような、
泥臭い、死のにおいがする、昆虫採集とは常にそんなものでした。
人気が高いのはカブトムシ、タマムシ、甲虫などの「触っても壊れない、頑丈な虫」ばかりで、
蝶を採集する少年などは私の周りにはいなかったし、
触ればすぐ破れてしまう蝶は、なんだか恐ろしくて、儚くて、虫かごに入れたことは1度もありませんでした。

年月はめぐり、私は昆虫採集をすることはなくなりました。
ある日私は、誰もいない教室で、恐らく祝日のある日に、ぼーっとしておりました。
その日は、つい最近にに亡くなった親族の、近しい親族の命日でした。
それを、私はずっと忘れていたのです。
教室に迷い込んできた、アオスジアゲハを見るまでは。

蝶は、死んだ人間の魂であるのです。
前読んだ、民族学の本の一文が、私の頭の中を駆け巡りました。




「生物と無生物のあいだ」は、恐らく大学レベルの生物学の本です。
ぶっちゃけ私が読んでも、細かいことは何もわかりません。
理科の本であるにもかかわらず、挟まれる小さなお話や、情景がものすごく美しい。
このジャンルで、生物学者が書いた本なら、柳澤 桂子の「二重らせんの私」クリックの「二十らせん」、
立花隆・利根川進「精神と物質」シュレーディンガー「生命とは何か」などがあります。

彼らは化学式、計算、分子式でお話を語っているのですが、この方々は「花を美しい」と思える人々です。
なんていえばいいのだろう。この方々は、ある種の詩人なのです。
素晴らしい目を持っている。自然を美しいと感じている。
一見、無機質だと思われるジャンルだけど、素晴らしいことだと思います。





こういう専門書って、よくわかんないところが飛ばすのが味噌な気がする。
全部読めてないし、理解も出来てないです。


それでは。
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